その男は見るからに不良で、かなり目付きも悪く、射抜くような視線を見た時は身体が硬直してしまった。 「…何してんのか聞いてんだよ。」 「…、」 同じ事を聞かれても声が出ずに、入口に持たれて立つ男を見て、固まるばかり。 教科書を探しているのを見て分かってくれたら、一番楽なのに。 不良に話し掛けられたという点でビビっている私にとって、この状況は毒が足元まで迫ってきているのと同じだった。