暖かい。
誰かが私を抱きしめている。
いや、抱えられているのか。

『…っ!…きの!幸乃!!』

愛しい人の声がする。
私、死ぬのかな。
頭と首から温かい液体が溢れている。
頭は傷が浅くても大量に血が出る事がある。
それだけだったら助かったのかな。
でも、首にできた深い溝から流れる血は留まることを知らない。

『次こそ…』

最期に祈る様な君の声を聞いて私は意識を手放した。
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