彼が至高神のもとで土地神となり失われた集落を再興する礎になったら、そのときには里桜が求婚されるかもしれぬな、と竜頭は口にする。

「――……っでもいま、あたくしが選ぶのは、あなたです!」

 顔を赤らめながら、弁解する里桜に、竜頭は苦笑する。

「いますぐではない。里桜は何度も生まれ変わるのだ」

 颯月がどこかの集落の土地神となって、裏緋寒の乙女に求婚する。それが自分の生まれ変わりである可能性を指摘され、里桜は何も言えなくなる。


「ま、そのときも我が里桜を手に入れるかもしれぬがの」


 それはきっと、はるかかなたの未来のはなし。
 竜頭が眠っていた湖は、穏やかに、凪いでいる。