時給三00円の死神

ある意味、壺や絵画の方がマシだったかもしれない。


「それじゃあ署名とハンコを、この書類にお願いね」


「書類?」


「うん。君を雇用するうえでの契約書だよ」


契約書。

契約書ときたか。


「この書類に捺印することで、
その瞬間から佐倉くんは死神のアルバイトとして採用されるの。
期間は半年。
勤務地はこの街の近辺。
私が先輩としてOjTの形で指導するからよろしく!
あ、ちなみにお給料は1日ごとの前払いだよ。
何か質問はある?」


「死神のアルバイト」


復唱しながら、戸惑っていた。


分かっている。

こんなにも怪しい書類にサインなどをしてはいけないことを。


きっと小さい文字で

「二十万円の壺購入」

という罠が仕掛けられていることも。


だけどこの時、俺は

「アルバイト」

「採用」

という文字に大きく心揺れ動かされていた。


「質問していいか」


「うん、どうぞ」


「その死神のアルバイトやらの時給はいくらなんだ」


「300円だよ」