人生の中で少しだけ不思議な時間を
過ごした時間がある。


雪の降りしきる中。


白く儚く失われた世界にて。


虚ろな彼に、俺はそう語りかけた。


これは、俺が死神のアルバイトをしていた時のお話だ。


このアルバイトは最悪と言ってもいい。


残業代は出ない。


交通費も出ない。


早朝でも平気で呼び出される。


そのくせ、勤務内容は幽霊のような(死者)
をあの世に送るという常識外れのもの。


何より時給が300円。


300円である。


呆れを通り越して笑いが込み上げてくるほどだ。


本当にろくでもない仕事だと自分でも思う。


「だけど、だ」