彼女は、僕の言葉に反応するように足を止めた。

「……聞いたこと、ある気がする……でも、誰か分からない……この場所も、何だか懐かしいような……?」

「ここは、アイビーと君……ソラが初めて出会った場所なんだ」

僕がそう言うと、彼女はゆっくりと僕の方を向く。

「……どうして、私の名前を……」

「アイビーは、良くソラとの思い出話をしてくれるから……」

彼女……ソラに、僕は微笑んだ。ソラは、表情を変えることなく僕を見る。

「……僕は、ソラを妖魔から助けたい。それは、アイビーも同じなんだ」

「私は、助けて欲しくないと思ってる。もう私に関わらないで」

ソラは、辛そうな顔でそう言った。

「……嘘はつかなくて良い。そんな辛そうにするんなら、その言葉……僕は信じないよ」

「……辛そう……?私が?」

ソラの目から、涙が零れ落ちる。その時、ソラの中から大きな妖魔が飛び出した。ソラは、その場に倒れる。

「……っ!」

妖魔の攻撃を防ぎ切れず、僕の体は木に叩き付けられた。

『邪魔をするな!彼女はフォルトゥナを破壊するために蘇らせて、ずっとテオ様が育てたというのに……』

「……蘇らせる……そんなこと、出来るの?」

『テオ様の力ならな!……そして、悪として生まれ変わるんだ!』