静かな部屋に響くのは、僕が液タブにペンを走らせる音とショートカットキーを押す音。

フォルトゥナで出会った皆と別れてから、数年が経った。

高校を卒業した僕は、イラストレーターとして本格的に活動を始めたんだ。

皆、今は何をしてるんだろう。輝一(きいち)は小説家として、大智(だいち)は音楽家として、凛兄は歌い手として活動してることは知ってるんだけど……。

「……皆に、会いたいな……」

僕は、そう呟いた。



いつものようにイラストを描いて、布団に入って寝た……はずだったのに。目を覚ましたら、なぜか見覚えのない部屋の床に横になってました。

……ここはどこ?

「冬都(ふゆと)、久しぶり!」

僕が体を起こすと、誰かが僕に抱きついてきた。誰かは離れると、僕を見つめて微笑む。

深い青色の髪に、深い青色の目。見覚えのある姿に、僕は驚いた。

「……アイビー……?」

僕が首を傾げると、アイビーは「そうだよ」と頷いて、窓に近付く。太陽の光が、アイビーを照らした。

「冬都、大きくなったね……顔も大人っぽくなってる」

「……もう20歳だからね」

「皆と出会ってから、そんなに経つんだ……早いね……」

「そういえば……アイビー、喋り方変わった?」