夏休み最終日。

まだ終わらせてない課題。
ベットに横たわってポテトチップスをむさぼる。辺りには脱ぎ散らかした服だとか
プリントの山で部屋が埋め尽くされている。

エアコンはほこりが溜まりすぎてとうとう動かなくなってしまった。
30℃近くある部屋に居ると頭ががんがん痛くなる。

その時、チャイムの音がして、重たい体を起こした。ドアを開けた瞬間大声が響いた。


「あっつーい!!もう無理入れて」

お邪魔しまーすとズカズカと家に入りこんでくるのはあの子しかいない。

「家の鍵忘れちゃってさあー、まじ最悪」


「ちょ、祐奈今日遊び行くとか行ってなかったっけ?!てか、相変わらず派手すぎ!」

お腹と肩が見えてる黒のトップスに下着くらいに短い白の短パン(?)
今流行ってるらしいゴツいゴールドアクセ。唇もネイルも真っ赤でギャルって感じ。

小さい頃から幼馴染で家も近い佐々木祐奈。
クラスも違うし、学校でべったり一緒にいるいつめんじゃないけどこうやって突然家に来たり、一緒に帰ったりする仲。

祐奈は美人でスタイルも良くてお洒落で私とは正反対。
だけど、飾らない性格で割とサバサバしてるから一緒に居て1番楽なのだ。


「千夏焦りすぎてうけるんだけど!今日他校の子と遊ぶ予定だったから気合入れて来たのに男子連れて来たの!あたしそんなの聞いてないし男子ベタベタ触ってくるし帰って来ちゃった」

二階に上がる階段に登ってドアを開けた。

「きったな!あっつ!」

「あ、やば…」

祐奈はすぐ窓を開けて下から扇風機を持って来て服まで畳んでくれてた。行動力が凄い。

「こんな所にいたら勉強も捗らないっつーの」

見た目は派手なのに、中身はしっかりしててお父さんとお兄ちゃんと3人暮らしなのもあって家事も出来る。
ぱぱっと掃除機をかけて綺麗になった所で何か思い出したように袋を出した。

「これ、新発売のプリン。あそこのコンビニ種類いっぱいあるよね」

(あそこコンビニって…)

あの時の嫌な思い出が蘇る。どうやら表情にも出てたらしい。

「あれ、千夏プリン嫌いだっけ?」

「プリンは好きなんだけどね、実は…」



話し終えた頃にはプリンはすっかり無くなってた。

「なにそれ!めっちゃ面白いじゃん」

「笑わないでよおおこっちは真剣に悩んでるのに」

「ごめんって、でも意外とそーゆー所から恋が始まったり?」

にやりと笑う祐奈。


「しなーい!!!!」

(あんな姿見られてする訳ないでしょ!)


結局課題なんて全然手を付けないで喋りまくって気づけば割と暗い時間になっていた。

「祐奈時間大丈夫??」

「じゃあ迎えお兄に頼もっかなー」

歩けば10分もかからないのに、というかいつも歩いて帰っているのに。


「こんな近いのにー」
冗談混じりに言うと、一瞬何か考え込んだ顔になったような…?気がした。

「…今日はなんかもう歩きたくないしさ、
後、あいつ居るし。」

「だから、お父さんの事あいつなんて言わないのー」


祐奈とお父さんはとても仲が悪く、絶対にお父さんとは呼ばない。
仕事が忙しくてあんまり家にいないから一回も運動会や授業参観に出た事無くて、学校の話なんて全くしないらしい。
でも、そんな事言うのはしょっちゅうだし、他にも理由があるような気がするけど、深く聞くのは辞めておく事にした。

「ま、そーゆー日もあるよね」

ごろんとベットに横になるとお腹の上に教科書を乗せられた。

「そんな事より勉強しよっか」
にっこりと怪しい笑みを浮かべる。



「いやああああああ」

結局祐奈が帰る前には課題は終わらず
泣く泣く答えを見ながら終わらせたものの寝たのは2時半だった。。