ーside 大翔ー
午後の診察がいつもより早く終わり、患者のカルテを整理していた。
そういえば、沙奈どうしているのだろうか。
いつもはこの時間に、メールの返信が来るんだけどな…。
何かあったのか?
そんなことを考えていると、何やら救急外来がバタバタしているのに気づいた。
重症患者が運ばれてくるのか?
手伝いに入ろうと、救急外来へ入ると患者の情報が書いてあるホワイトボードに目をやった。
17歳、女性痩せ型。出血による意識レベルの低下、刃物が背中から心臓の近くにかけて刺さっている可能性があるとのこと。
「何か、事件に巻き込まれたのか?
警察には問い合わせているのか?」
近くにいた看護師に聞いてみるが、その看護師は新人なのか慌てていて、俺の言葉が耳に届いていなかった。
救急車が到着し、患者が運ばれてくると俺は思わず息を飲んだ。
状況の読めない環境が、今目の前に起こり頭が追いつくことに必死だった。
「さ…沙奈!!」
「先生、沙奈は助かりますか!?
先生!お願い!
助けて!」
沙奈の友達だろうか?
沙奈と同じ制服を着ていた。
彼女も、体中が傷だらけでかなり出血していた。
沙奈の命を最優先にし、彼女の手当は研修医と看護師に任せた。
「君、名前は?」
「早見奈子。この子は…」
「沙奈だろ。知ってる。
俺の大切な人だ。
君も、決して軽傷な傷じゃないんだ。
今、状況の説明をしなくていい。
ここは俺に任せて、傷の手当をしてきなさい。」
看護師が、奈子ちゃんを誘導するが中々沙奈から離れない様子を見て、俺は彼女にそう話していた。
感情的に取り乱しても、沙奈の命が一刻と危険な状態になるだけだ。
俺は、深く呼吸をしてから自分に大丈夫と言い聞かせ、何とか乱れた自分の感情を上手くコントロールすることができた。
今は、沙奈の命を救うことに専念するんだ。
一生かけて守ると決めた、たった1人の愛おしい女性だ。
それに、大切な患者の1人でもある。
1人の患者として、女性として君を守ると決めたから。
「君、ここはいいから沙奈のお兄さんに当たる、翔太と紫苑に連絡してくれる?
七瀬先生。
まだ、医局にいると思うから。」
この状況下で、半分パニックになっている隣にいた新人の看護師に伝え、紫苑や翔太を呼んで来るように伝えた。
「沙奈、絶対お前を死なせたりしないからな。
約束しただろう?お前を守るって。
だから、死ぬな。
取り残された人間は、一生辛い記憶を背負って生きていかなければならないんだよ。
だから…
頼む、戻ってきてくれ。」
沙奈の緊急オペは、5時間に渡り何とか一命を取り留めることに成功した。
オペには、紫苑や翔太も入ってくれた。
「大翔、警察はこっちに来てるのか?
一体、何があったんだ。」
オペが終わり、沙奈をICU(集中治療室)に運んでから紫苑は俺に聞いた。
「今、警察が状況を確認しているらしい。
沙奈がここに運ばれてきた時、早見奈子ちゃんという女の子が一緒にここへ来たんだ。
彼女も全身傷だらけで、入院ほどじゃないけど深い傷を負っていた。
だから、何かの事件に巻き込まれたとしたのかもしれない。」
「早見奈子?」
「その子、ここの患者で俺の患者なんだ。」
「翔太の?」
「うん。」
「だけど、状況を思い出しながら警察に話をすることは彼女にとって酷なんじゃないのか?
沙奈と同じってことは、まだ高校せいだしな…。」
ショックな出来事が起きて、大人でさえもその出来事を話すのは酷だ。
それでも、沙奈から話を聞くよりかはまだ…
「でも、話してくれないと何があったのか分からない。
奈子ちゃんには悪いけど、沙奈のためを考えると辛くても覚えているのであればちゃんと話してほしいとは思う。」
翔太は、険しい表情をしていた。
「翔太…。
そうだな、沙奈を傷つけた奴を俺は許さない。」
紫苑の言う通りだ。
犯罪を犯しておきながら、警察に捕まらず反省もせず自由に街を歩いているとしたら俺は本気で許せない。
午後の診察がいつもより早く終わり、患者のカルテを整理していた。
そういえば、沙奈どうしているのだろうか。
いつもはこの時間に、メールの返信が来るんだけどな…。
何かあったのか?
そんなことを考えていると、何やら救急外来がバタバタしているのに気づいた。
重症患者が運ばれてくるのか?
手伝いに入ろうと、救急外来へ入ると患者の情報が書いてあるホワイトボードに目をやった。
17歳、女性痩せ型。出血による意識レベルの低下、刃物が背中から心臓の近くにかけて刺さっている可能性があるとのこと。
「何か、事件に巻き込まれたのか?
警察には問い合わせているのか?」
近くにいた看護師に聞いてみるが、その看護師は新人なのか慌てていて、俺の言葉が耳に届いていなかった。
救急車が到着し、患者が運ばれてくると俺は思わず息を飲んだ。
状況の読めない環境が、今目の前に起こり頭が追いつくことに必死だった。
「さ…沙奈!!」
「先生、沙奈は助かりますか!?
先生!お願い!
助けて!」
沙奈の友達だろうか?
沙奈と同じ制服を着ていた。
彼女も、体中が傷だらけでかなり出血していた。
沙奈の命を最優先にし、彼女の手当は研修医と看護師に任せた。
「君、名前は?」
「早見奈子。この子は…」
「沙奈だろ。知ってる。
俺の大切な人だ。
君も、決して軽傷な傷じゃないんだ。
今、状況の説明をしなくていい。
ここは俺に任せて、傷の手当をしてきなさい。」
看護師が、奈子ちゃんを誘導するが中々沙奈から離れない様子を見て、俺は彼女にそう話していた。
感情的に取り乱しても、沙奈の命が一刻と危険な状態になるだけだ。
俺は、深く呼吸をしてから自分に大丈夫と言い聞かせ、何とか乱れた自分の感情を上手くコントロールすることができた。
今は、沙奈の命を救うことに専念するんだ。
一生かけて守ると決めた、たった1人の愛おしい女性だ。
それに、大切な患者の1人でもある。
1人の患者として、女性として君を守ると決めたから。
「君、ここはいいから沙奈のお兄さんに当たる、翔太と紫苑に連絡してくれる?
七瀬先生。
まだ、医局にいると思うから。」
この状況下で、半分パニックになっている隣にいた新人の看護師に伝え、紫苑や翔太を呼んで来るように伝えた。
「沙奈、絶対お前を死なせたりしないからな。
約束しただろう?お前を守るって。
だから、死ぬな。
取り残された人間は、一生辛い記憶を背負って生きていかなければならないんだよ。
だから…
頼む、戻ってきてくれ。」
沙奈の緊急オペは、5時間に渡り何とか一命を取り留めることに成功した。
オペには、紫苑や翔太も入ってくれた。
「大翔、警察はこっちに来てるのか?
一体、何があったんだ。」
オペが終わり、沙奈をICU(集中治療室)に運んでから紫苑は俺に聞いた。
「今、警察が状況を確認しているらしい。
沙奈がここに運ばれてきた時、早見奈子ちゃんという女の子が一緒にここへ来たんだ。
彼女も全身傷だらけで、入院ほどじゃないけど深い傷を負っていた。
だから、何かの事件に巻き込まれたとしたのかもしれない。」
「早見奈子?」
「その子、ここの患者で俺の患者なんだ。」
「翔太の?」
「うん。」
「だけど、状況を思い出しながら警察に話をすることは彼女にとって酷なんじゃないのか?
沙奈と同じってことは、まだ高校せいだしな…。」
ショックな出来事が起きて、大人でさえもその出来事を話すのは酷だ。
それでも、沙奈から話を聞くよりかはまだ…
「でも、話してくれないと何があったのか分からない。
奈子ちゃんには悪いけど、沙奈のためを考えると辛くても覚えているのであればちゃんと話してほしいとは思う。」
翔太は、険しい表情をしていた。
「翔太…。
そうだな、沙奈を傷つけた奴を俺は許さない。」
紫苑の言う通りだ。
犯罪を犯しておきながら、警察に捕まらず反省もせず自由に街を歩いているとしたら俺は本気で許せない。


