『確保!』
こうして1人、身柄を拘束した。
手錠をかけ、ボスに連絡しようと無線機をつける。
____カチャ
右から、冷たい鉄を押し付けられる感覚。
それと同時に、腕が私に回り込むようにして肩を思い切り握られ、私は人質になってしまった。
(残念だったな。敵は1人じゃないぜ?)
『君嶋、!』
(こいつを見逃してくれたら、このお嬢ちゃん解放してやってもいいぞ?)
「解放しちゃダメ!」
(ほう?威勢がいいな)
首を思い切り絞められる。
「…クッ、」
(どうだ?こいつを見捨てて人質になるか、刑事としての威厳を保つか)
「…いい、から」
『君嶋ごめん』
偉い。間違ってないよ紫ノ宮。
私を見捨てて…
『どっちも諦めねぇわ、俺』
もう一丁の拳銃を腰から抜きこちらに向ける。
私は最後の力を振り絞って思い切り屈む。
紫ノ宮の放つ銃弾が男の肩にあたり、右手を負傷する。
「…確保、」
私は男に手錠をかけた。
犯人は2人だった。
その両方の身柄を確保した私たちは、きっと上からの評価も高くなるだろう。
『…ごめん、無理して』
「何故私を見捨てなかったの」
『ばか、見捨てられるわけねぇだろ』
「やっぱり紫ノ宮私のお父さんみたい」
『…ちげぇよ』
「え?」


