『なぁ、無理すんなよ?』

私のために放った彼の言葉。
別に無理などしていない。
…と言ったら嘘になるが、無理をしなければこの仕事は務まらない。

「何言ってんの。私たちは命を削る仕事だよ?」

凶悪犯を捕まえる。
それが私たち刑事の仕事だ。

『まーたカップ麺食って。もっと体にいいもん食べろよ』
「そういう紫ノ宮だって、偏食じゃない」
『っふは、似た者同士だな笑』

夜の操作会議が終わった後、私たちは今日の情報をまとめていた。

「明日以降、拳銃携帯許可がおりるらしいよ」
『まあそうなるだろうな』
「…怖い?」
『まあ怖くねぇ奴なんか居ないだろ』
「怖いんだ笑」
『お前怖くねぇのかよ』
「怖くないよ。恐れるものがないもん」

実際、そうだった。
私は命を惜しむことなんかない。
殉職したら、二階級昇進する。
ホントならば生きて昇進したいところだが、昇進できるに越したことはない。

『…でも俺は、お前にお前自身を大切にして欲しいって思ってるよ』
「どういうこと?」
『お前が居なきゃ俺が困る』
「バディが居なくなると新しいのが見つかるまで捜査参加させて貰えないもんね」
『それもあるし、それに…』

彼は指で頭をかく。言葉をつまらせている。

「なによ」
『んー、まあとにかく大事にな』
「お父さんかよ」
『こんな娘に育てた覚えはないぞ』
「ふは、なりきらなくていいから笑」

そんな会話をした後、事務作業を終え家へ帰った。