そこまで言っても私を離す気がない彼は少しだけ、さっき見た夢を引きずっているようにも思えた。

「私は光成のこと、忘れないよ?」

そう言って頭を撫でる。
少し茶色で猫っ毛な彼の髪には寝癖が1つ。

『絶対ね、俺も芽衣のこと何があっても忘れないよ』
「うん、絶対ね」

目を合わせて微笑む。
これがかけがえのない幸せだと感じる。

『ねぇ、芽衣は今日で世界が終わるなら何する?』

すると突然、彼が突拍子もないことを尋ねる。
頭のいい人は何を考えてるのかたまに分からない。

「どうしたの?」
『聞きたくなったの』
「んー、」

美味しいものをおなかいっぱい食べる。
お金を散財する。
行きたかった場所へ行く。
そんなありきたりな答えよりもやっぱり、