この気持ちを、あなたに伝えられたらどんなに楽だろうか。
親友というポジションは、1番近くにいれて1番遠い存在。
もう恥ずかしさとかも何も無いから、一緒の部屋に泊まるし、一緒のベッドにだって寝られる。

____今日俺ん家な。

こうやって呼んでくれるのは、彼に恋人がいない今だけなんだろうなって。
誘われる度に優越感と、寂しさが私を襲う。

____お酒買って行く。

私と拓実の好きなお酒と、こないだ美味しいと言ってくれた肴の材料を買い、馴染みのあるアパートへ向かう。

『いらっしゃい、』
「あれ?今日片付いてんじゃん」
『片付けたんだよ』
「えらすぎ、明日雪だよ」

いつも散らかっていてまず彼の部屋を片付けるところから始めるというのに、今日は棚やキッチンまで掃除されていて、見違える。

『え、これもしかして』
「そう、あのツマミ作ろっかなって」
『まじ!やった超嬉しい』

こんなことでガッツポーズをして喜んでる彼にいちいち好きだと感じてしまう。
彼の家の匂いもまた、私をドキドキさせる要因だ。
きっと細胞レベルで彼に恋しているんだろう。

お酒のツマミを何品か作っている間、拓実はお風呂を掃除していた。

『萌今日も泊まってくっしょ?』
「…え、いいの?」
『うん、予定ないなら泊まってって』

明日は夜からバイトだから、午前中に帰ればまあ問題ない。
それにしても、今日はもてなしが凄い気がする。

…さては、なんかあったのか?
何故か少しだけ嫌な予感がした。