もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい





「そろそろ帰ろうか。日が暮れちゃう」

しばらく読書をしていたら、あっという間に空が淡い橙色に染まっていた。

街と空との境界は、一言に虹色と言っては勿体ないくらいに美しい。

この…まるで水彩で描かれたような空が、私は好きだ。

一瞬で儚い、夢の世界。

「そうだね」

空に見惚れながらも、羽虹と同じように本を直して窓から離れる。

そのまま図書室を後にし、一階に降りて靴箱から外に出た。


直視できないほどに強烈な光を放つ太陽。

私は腕で光を遮りながら、眩しいそれを見上げた。

「綺麗」

無意識に口に出た言葉に、羽虹は嬉しそうに頷いて共感してくれる。

なんだか、こういう反応の仕方は天沢と似ているな、と思った。

「空とか太陽って神様って感じがする」

羽虹は太陽に縋るかのように、空に向かって腕を伸ばした。


── 水瀬さんは、神様って信じる?


脳裏に焼き付いている、萎れた花のように元気を失った天沢の姿。


あの時私は、慌てていて変なことを言ってしまったけれど…

神様って、少なくとも皆の心の中にはいるのかな。