淡い桃色の花びらが、頭上を舞っていく。
今年は桜の開花が例年より遅い。
始業式から約一週間経った今が見どころだ。
花びらを踊らせる爽やかな風。
柔らかくて温かい木漏れ日。
色とりどりの花から香る甘い匂い。
心地良い。
今日は絶好のピクニック日和だ。
まあ、ピクニックはしないんだけれど。
「こんにちは、水瀬さん」
「ん、」
桜が良く似合う美少年が、扉から顔を出す。
彼はいつだって挨拶を欠かさない。
流石にやめてと言っているので、教室で話しかけられたことはないけれど…。
今までここに来た時に、挨拶をされなかったことがない。
さすが優等生だ。
同じクラスになったことで、私は天沢の知らなかった部分をかなり目にした。
先生にも生徒にも、困っている人がいれば一番に手を差し出すし、何かが起こった時に必ず頼られるのも、彼。
周りからの信頼が厚く、気が利き、人のためになることは何だってする。
自分の時間を削ってでも。
やっぱり、なんだか…複雑。
自分と違いすぎるせいだろうか。
わかっていたことだけれど、天沢と私は似てる部分を見つける方が難しい。
天沢は天才だ。
それを棚にかけない、謙虚さと優しさまで兼ね添えている。
私なんかとは違う。
なんで一緒にいるのか、わからない。
