もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

天沢は大勢のクラスメイトの視線を釘付けにしながら、静かに席に着いた。

出席番号一番。

彼に相応しい、一番前の席。



慣れてる、視線を浴びるのに。


「おーい、新しいクラスに浮かれる気持ちもわかるが、取り敢えず席につけ」

「「「はーい」」」

ざわめきが消えない教室に、新担任の声が響く。

他の生徒がバタバタと椅子を引く中、天沢だけがすっと整った姿勢で担任の姿を真っ直ぐに見ていた。


優等生は嫌い…。

でも、なんでだろう…。

天沢のことは、そんなに…嫌いじゃ、ない。



「もう知っていると思うが、まあ恒例の自己紹介とするか。

俺は津谷 樹(つだに いつき)だ。担当教科は国語。

去年は一年一組を担当していたから、見知ってる顔が多いな」

明るく溌剌とした津谷先生は、校内でも人気が高い。

二十代で若いのと端麗な顔立ちのせいか、本気で恋に落ちる生徒も少なからず居るとか。

まあ、天沢には敵わないらしいけれど。



どうでも良い話題も、天沢の名前が出ると耳に入ってしまう。

ここ最近、疲れることが増えた気がする。


まあ…空白の毎日に比べれば、だいぶマシだけれど。

「高校二年生は、一年間しかない。どう足掻いたって、十七歳は返ってこない。俺だって後悔だらけの人生を歩んできた。

でも、お前らには同じ思いをして欲しくない。困ったら頼れ。過ちを許すな。

手を差し伸べることを決して忘れてはならない。良いな?」

「「「はい!」」」

急に真剣な雰囲気を醸し出す先生にも、生徒はいつものノリで返事を返す。

何も、聞いていないのかな。

そうだよね、どうせ…早く終わればいいのにって、そう思ってるんだろうし。


私だってそう。

捻くれた考えが心に宿ってしまう。



頼れって言われても、他人に話すことなんてない。

話せないから、頼りたくても頼れないから、辛いのに。


もちろん先生の言っていることはわかるし、正しいことだとも思う。

でも、それができない人を責める権利も資格もない。


一人で抱え込みたくて抱え込んでいるんじゃないんだから。


人を信じたくても、信じられないのだから。