私は中学に入ったばかりの頃、独りだった。
休み時間は机で俯いて存在を消して、忘れ物を借りる友達さえいない。
毎日が白紙のよう。
変哲がなく、孤独で、本当につまらなかった。
そんな時彼女が話しかけてくれたのだ。
たくさんの優しい言葉をくれて、長い時間を共にして…
やっと自分の居場所を見つけた。
それなのに、彼女と離れて有名な高校に入って…
やっぱり得たのは孤独だけだった。
自分で選んだ道なのに、後悔してばかりで。
情けない。本当に。
自分の惨めさをこれ以上ないくらいに実感しながら、私の返信を待っているであろう彼女のために手を動かす。
少し迷ってから、やっぱり正直な気持ちを伝えることにした。
『流石なんて…そんなことないよ…私、なかなかクラスに馴染めないし…。
今更だけど一緒の高校に行けば良かったなぁ』
彼女…花咲 七菜香(はなさき ななか)は地元の高校に進んだ。
私はギリギリまで自分の進む道を迷ったが、七菜香に頼りきりではダメだ、と勇気を振り絞って難関校を受験した。
その結果、クラスで孤立。
二月になり、高校に進学してから十ヶ月ほど経った今でも、友人と呼べる人が誰一人いない。
