「良いよ、その条件呑む」
「…え?」
さっき、同じようなやりとりをしたな、と薄っすら思う。
まあ立場は逆で、私はこんなに優しく聞き返してはいないけれど。
とにかく今の返事でわかったのは、天沢と私の違い…ではなく、彼は私が了承するとは到底考えていなかったということ。
どれだけ純粋無垢なのだろう。
美貌で惹きつけてやろう、とか思わないんだろうか。
「一週間に一回。できれば土曜日。それで良いのなら」
淡々と私が都合を述べている間も、彼はどこか唖然としていた。
まるで…人に願い事を叶えてもらうなんて、とんでもないことのように。
「…ありがとう、本当に」
天沢はまだ信じられないのか、少し虚な瞳で喜びを噛み締めるように頷いた。
私は急に様子が変わった天沢になんだか居た堪れない気持ちになって、言葉を探す。
「場所はここで良いって言ったけれど、何か頼まないとまずいんじゃないの?でも、ここまで運んでもらうのも…」
なんとか天沢を引き戻したくて、答えを求める問いを投げかける。
彼は案の定、質問に対してぼんやりと答えることなんてしない、しっかり者で完璧な人間なので、何の余韻も残さずに微笑んだ。
「その点は大丈夫だよ。許可は取ってあるし、何かを頼みたい時は僕が取りに行くから気にしないで」
「…え、天沢に取りにいかせるの?…それはちょっと」
彼はなんでもないことのようにさらりと言ったけれど、学園の王子様をこき使うわけにはいかない。
私が顔を顰めていると、天沢は優しく口角を上げてゆっくりと目を細めた。
あまりにも暖かくて甘い微笑みに、頭が真っ白になる。
な、何っ…?
