もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

なんとも言えない悔しさを噛み締めていると、天沢は何か閃いたのかぱっと顔を上げた。

「…じゃあ、僕からも一つお願いをする。

これは…君にとっては結構面倒なことだと思う。

でもそれは長期間に渡って行うことだから、僕が言いふらさない保証としては大きい。

水瀬さんのことを裏切った場合を考えると困るのは僕だからね」

出会って初めての賢さが滲み出る発言に、私は返事に迷った。


何か企んでたらどうしよう。

頭が良い人って自分とは思考が違いすぎて怖い。


でも、一生懸命私のために考えてくれたわけだし…。

…まあ、聞くくらいなら良いかな。


「…聞いてから決める」

「うん、ありがとう。嫌だったら遠慮なく言って良いから」

私の素っ気ない答えにもスラスラと感謝の気持ちを述べて、気遣いまで忘れない天沢。

まるで台本があるかのようなセリフだ。

それが気に食わないけれど、そんなの元々だし、今更何かを言う気もない。


取り敢えず私は黙って天沢の瞳を見つめ、先を促した。


「…ここで、暇な時に会えたら良いなって思うんだけれど」

「…は?」

醜い唇から間抜けな声が漏れて、天沢の耳を汚した。


意味が理解できない。

私に会って天沢に何の得があるの。



…いや、違うか。

私が死なないか確かめるための手段としたら最適。

きっとそういうことだろう。




天沢は私が声を荒げたことで不機嫌になったと勘違いしたのか、慌てて両手を胸の前で振る。

「…ご、ごめん。無理に誘うつもりじゃなくて。
でも、どっちにしろ水瀬さんの自由な時間を奪うわけにはいかないよね。配慮が足りなかった。忘れて」

申し訳なささを全面に出してくる天沢に、私は彼の提案をどうするか決めるために頭を捻る。


メリットは…まあ、口止めが今日一番の目的だし…。

それに、いつも友達がいるか、事あるごとに聞いてくる祖母を「友達に会ってくる」と安心させることができる…。

まあそれなりにデメリットもあるんだけれど…。


まあ、小野さんのことが落ち着いたら即死ねば問題ない気がする。

こんなので交換条件になっているかは、不明だけど。

天沢の脳内に汚れた考えはなく、そんな私の狡い行動は予測できないのかもしれない。




案外早く結論を出すことができたので、悩み始めた天沢に唐突に言葉を投げた。