その日の放課後。
私は帰途にはつかず、あるお店への道を歩んでいた。
理由は数十分ほど遡った、学校での出来事。
結局、天沢の姿すら見つけることのできなかった私は、今日は諦めて帰ろうと靴箱へ向かった。
そこで、靴の上に置かれた小さなメモを発見。
周りに見つかったら、大変なことになるのは目に見えている。
私は何事もなかったかのようにそのメモを手に外へ出て、誰もいない場所でゆっくりと開いた。
『もし良ければ、このお店でお話しできませんか?』
そこには、綺麗に整った、柔らかくて美しい字が並んでいた。
ついでに小さな地図とお店の名前も。
本人の名前は隅っこに、小さく記されている。
でも、名前がなくたって誰がこれを置いたのか、はっきりとわかった。
この字…これ以上ないくらいに整っていて、柔らかくて優しい字。
これは、あの天才の少年にしか書けない。
どうしたらこんなに繊細な字を書けるの?
すごく丁寧なのに、滑らかで優しくて。
こんなに綺麗な字、見たことない…。
しばらく見惚れていたことに気づき、慌てて首を振る。
こんなことしてる場合じゃない。
チャンスだ、行かないと!
