「小野さん、私…」
「あれ、明梨ー?何してるの?」
私の陰気な声を遮るハキハキと響く声に、肩を窄める。
クラスの人の名前を誰一人覚えていない私は、彼女が誰かはさっぱりわからない。
でも、教室で良く聴く声ということだけは確かだ。
それだけ発言力と自信を持つ、そう、天沢のような皆から認められている人間。
そんな人間と仲良くしている小野さんが、暗い私と一緒に話しているのを見られたら…。
何が起こるかわからない。
「小野さん、もう話は済んだから」
「?…あ、うん。わざわざありがとう」
私は逃げるようにその場を後にした。
ありがとう、は私が言わなきゃならないのに。
彼女に言わせてしまっている私は、本当に情けない以外の何でもない。
あんな風に素っ気ない態度しか取れなくて。
ごめんなさい、ありがとう、も何一つ伝えられなくて。
一軍にまで目撃されてしまって。
それでも彼女は少し不思議そうにするだけだった。
こんな自分はもう嫌だ。
──変わりたい。
私は精一杯息を吸って、肺に空気を送り込む。
「ちゃんと伝えられなくてごめんなさい。
こんな私のために色々してくれて、ありがとう」
今にも消えそうな掠れた声が、誰もいない廊下に微かに響いた。
「あれ、明梨ー?何してるの?」
私の陰気な声を遮るハキハキと響く声に、肩を窄める。
クラスの人の名前を誰一人覚えていない私は、彼女が誰かはさっぱりわからない。
でも、教室で良く聴く声ということだけは確かだ。
それだけ発言力と自信を持つ、そう、天沢のような皆から認められている人間。
そんな人間と仲良くしている小野さんが、暗い私と一緒に話しているのを見られたら…。
何が起こるかわからない。
「小野さん、もう話は済んだから」
「?…あ、うん。わざわざありがとう」
私は逃げるようにその場を後にした。
ありがとう、は私が言わなきゃならないのに。
彼女に言わせてしまっている私は、本当に情けない以外の何でもない。
あんな風に素っ気ない態度しか取れなくて。
ごめんなさい、ありがとう、も何一つ伝えられなくて。
一軍にまで目撃されてしまって。
それでも彼女は少し不思議そうにするだけだった。
こんな自分はもう嫌だ。
──変わりたい。
私は精一杯息を吸って、肺に空気を送り込む。
「ちゃんと伝えられなくてごめんなさい。
こんな私のために色々してくれて、ありがとう」
今にも消えそうな掠れた声が、誰もいない廊下に微かに響いた。
