もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

虐め、というのがそれまではよくわからなかった。

悪口を言ったら虐め?

傷つけたら虐め?

悪意のある行動をしたら虐め?

その人を嫌ったら虐め?


どこからが虐めの基準?


皆んなに無視されること?

物を盗まれること?

ゴミ箱を頭からかけられること?

バケツの水を浴びらせられること?

プリントを破られること?




私は自分が虐められていることを認めたくなかった。

無視されて、ゴミや水で全身汚されて、教科書を破られて授業に参加できなくて。



『相手が虐められていると感じたら虐め』


自分なりに得た答えは鼻で笑われても可笑しくはないほどに、下らない物だった。





小学校を卒業して、人気者の彼女は他県へと引っ越していった。

私は「最後まで負けなかった」と達成感に満ち、自分を褒めた。



中学でも同じ運命が待っているとは知らずに。





入学式の時から上靴は無くなるし、配られたばかりのプリントも気づけば存在を綺麗に消していた。

その時の絶望感を、今でもはっきりと思い出すことができる。


家族に相談しようも、虐めによって人と話すことが怖くなった私は家でも陰気で、両親と会話することがほとんどなかった。

それに家族は私を見ていない。

スポーツ万能で、コミュニケーション力が人一倍あって、いつも皆に囲まれている妹の陽菜(ひな)。

「どうして雨音は友達を作らないの?陽菜を見習いなさい、あの子は本当に良い子よ」

毎日のように妹と比べられて、蔑まれてきた私は家族に頼ることはできなかったし、絶対に虐められていることを知られたくなかった。




──もう無理だ。



そう思った。環境が変わっても、私は私だから。

どこに行っても私の居場所なんてない。




そうやって諦めかけていた時に、彼女は私に手を差し伸べてくれた。


「あの、水瀬雨音さん…だよね?私、花咲七菜香って言います。今、良いかな?」