もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「何でもこなせるなんて…そんなことないよ。現に今、君が望む言葉をかけてあげられない」

「望む言葉?そんなのないに決まってるでしょ!
私は誰にも関わってきてほしくない!それ以上何も望んでないからっ!

もう良いよ、知らないっ」

誰に見られていようが死んで仕舞えば終わりだ。


そう思ってもう一度空中へと足を差し出す。

でも、彼は簡単には引き下がってくれなかった。

きちんとさっきの反省を生かして軽く手首を掴まれる。

「行かないで」

縋るような甘い声。

「水瀬さん」

手首を包む、細くて綺麗な指。

「邪魔しないでっ!」

私は何もかもが不快で仕方がなくて、彼を強く突き飛ばした。



──怒って、嫌って、呆れてよ。



「ごめん、痛かったかな」

思いっきり力を乗せたのだが、さすが完璧な人間。

少し身体のバランスを崩した後、すぐに体制を整えた。

雨が滴る前髪から覗いている済んだ瞳は、凪のように落ち着いていて、冷静さを物語っている。