「…兄さんのどこが好きなの」
布団から少しだけ瞳を覗かせて、晴夏くんが首を傾げる。
揶揄っている様子は全くないので、引くにも引けない。
「…寝顔、見せてくれるところ」
「は?」
「完璧王子様なくせに、ちょっと弱くて、ものすごく鈍感なところも好き。告白スルーされたくらいだし」
開き直ってスラスラと言葉を吐くと、晴夏くんが真顔で静止する。
どうやら、理解が追いついていないらしい。
「なんだよ、まじか…」
頭を抱える晴夏くんに、今度は私が首を傾げる。
変なことを言ってないとは断言できないけれど、それなりにまともな答えだったはずだ。
「え、何でしょう…」
「…兄さんが告白即断らなかったことなんてないよ。返事がない時点で断る気ない」
「えっと…?」
わかりやすい言葉が欲しくて、わざと思考を止める。
余計な期待をして裏切られたくはない。
「…ここまで言ってわかんないなら水瀬も充分天然だよ、自分で考えて」
ふんっとそっぽを向く晴夏くんの目を盗んで、密かに頬を染める。
もしかしたら、なんて。
思ってもいいのかな?
