「…雨も、好きだけど。やっぱり私は晴れのほうが好きだな。眩しい太陽が、力をくれるから」
「…そっか」
雨を恋しく思うときだってある。
でも、やっぱり光がないと生きていけないから。
君がいないと、生きていけないよ。
「あまね」
息を呑む。
「僕は雨が好きだよ」
彼の手が背中に回されて、抱き返された。
星空の下で一方的に抱きしめた、あのときとは違う。
なんて…
なんて綺麗なんだろう。
知らなかった。
私の名前が、こんなに綺麗な音色だったなんて。
抑えられない。
嬉しくて、幸せで、堪らない。
「水瀬さんはちょっと泣き虫だよね」
「…ばか、誰のせいだと思ってるの」
細い指が、私の濡れた髪の毛を撫でていく。
天使の羽が降りてきたみたいに優しい感触。
追い討ちでしかなくて、ぶわっと涙が溢れ出す。
「綺麗だね。空の涙も、君の雨も」
大丈夫だ。
きっと、私たちは。
もう、迷ったりしない。
二人なら、闇の中でも手を取り合える。
君の、光になってみせる。
