頬をつたる雫が、雨なのか涙なのか。 私にはわからなかった。 そんなことを考える余裕もなく。 まるで、空へと舞い上がる風船を制する幼い子供みたいに。 君の手を引いて、強く強く抱きしめた。 腕の中にあるのは、星空を見上げたあの夜よりも、ずっとずっと細くて、冷たい背中。 それでも。 やっぱり君はここにいた。