動かない足。
唖然とした表情で、立ち尽くすことしかできない。
…でも。
時間は刻々と過ぎていく。
次の瞬間、彼はゆっくりと前へ進み始めた。
もう、空まで数センチしかない。
──水瀬さん
「待って、天沢…」
大丈夫。
君は、まだこの世界にいる。
そう、でしょ?
もう一度、私の名前を呼んでよ!
──僕は天沢千晴。
あの日の君は、太陽だった。
太陽は雲によって隠れるけれど。
いつだって消えたりしない。
君は、ここにいる。
「ねえ…っ!」
足を踏み出す。
手を伸ばした。
こんなに傷だらけでも、まだ尚優しさを秘め続ける、彼に。
今度は、縋るんじゃない。
伝えるんだ。
私の精一杯の想い。
どうか、届いてください。
「ねえ、空は好き…っ!?」
