このまま終わらせてたまるか。
幸せだけ与えて、どこかに行くなんて。
そんなの、許せるわけないじゃない。
「私にも、少しは返させてよ…っ!」
喉が張り裂けそう。
足の関節が外れそう。
息が詰まって…、苦しくて堪らない。
でも。
もう少し、もう少し、だ。
あと少しだけ、だから。
どうか間に合って──!!
大丈夫、まさか電車に乗ってここまで来てるとは思っていないはず。
時間は、ある。
でも、もしも──
君がもう、空中に足を踏み出していたら?
ううん、もしもなんてない!!
私は、天沢に会いに行くんだ。
彼を、救う。
絶対に、諦めるもんか。
雨が痛い。
でも、彼が愛した雨だ。
優しく降り注ぐ雨。
どうか。
私と彼を、繋いでください。
