窓の外に視線を向ける。
先ほどより一層強くなった雨が、地面に降り注ぐのを見ていた。
雨は、まるで涙のようだ。
涙雨。
それは、誰かの心の表れなのだろうか。
そんなわけ、ない。
雨が降るのはちゃんと原理があって、感情なんかに左右されるものじゃない。
でも、それでも。
今はそう思わせて欲しい。
これは僕が流す、最後の涙だと。
立ち上がる気力もなく、ただ壁に預けるだけだった体。
でも、それももう終わりにしよう。
壁に手をついて体重を預ける。
ふらりと視界が揺れた。
立ち上がるのさえ、ままならない。
許して、なんて言わない。
恨まれても、憎まれても、嫌われても、それでも良いと思って、君を助けたから。
約束を破る僕を、どうか。
心から蔑んで、忘れてください。
彼女と唯一繋がる手段である、電子機器に触れる。
お守りがわりにそれを手に収めると、ゆっくりと床を踏みしめて足を進めた。
雨の音がする。
儚くて、切なくて、哀しい音。
そして、何より優しい音色。
全身が、満たされていく。
覚悟を決めて息を吸った。
「──」
