…このままじゃ、だめ。
絶対だめ。
──水瀬さんが、こんなに近くにいる。
嬉しい、幸せだなぁ、、
あの夜の儚い君の姿を、私は忘れない。
過去は思い出すもの。
そして、未来は良い方向に変えるものだ。
「天沢はそれで病院を去ったの?」
『…うん、ごめんなさいって、言って。そのまま──』
その『ごめんなさい』は…何に、誰に謝っているのだろう。
弟を守れなくてごめんなさい。
あなたに出会ってしまってごめんなさい。
生まれてきて、ごめんなさい。
そんなの、許せない。
そう思わずにはいられない人生を送ってきたとしても。
それだけは、許してはいけない。
「羽虹、颯希くん。心配しないで」
『…え?』
「必ず、天沢を連れて戻ってくるから」
根拠なんて、ない。
でも、彼はきっと私に何かしら連絡をくれるはずだ。
どんなに追い詰められても、彼は天沢千晴なんだから。
──…ごめん、今は言えない。上手く言葉にできないんだ。でも、いつか…いつになるかわからないけれど、絶対言うから。
大丈夫。
彼は、まだこの世界にいる。
「二人は、晴夏くんをお願い」
『雨音…うん、わかった。千晴くんは雨音に任せたからね』
『…もしも、千晴に会えたら。千晴の心を癒すことを何より最優先にして欲しい。俺らへの連絡は後で良いから』
意を決したように颯希くんが頼む、と囁く。
二人からは、十分すぎるほどの勇気をもらった。
行こう。
彼のもとへ。
「ありがとう、二人とも。行ってきます」
