『でもさ、互いに良い関係だったと思わない?私は周りからの印象が上がるし、貴方は孤独を悲しまずに済む。
私の演技に貴方は上手く騙されていたし。

高校に進んでからは正直めんどくさかったけれど、今日まで続けてあげたんだから』

耳を塞ぐことも、目を閉じることも、できるはずだった。

でも、今の私には目の前の逃げ道すら見つけることができない。





何もかも、意味なんてなかった。

七菜香と出会ったことも、クラスメイトから逃げたことも、ここにいることも、産まれてきたことも。

全てが何も残してはくれない。



そんな当たり前のことに、ようやく気づいた。



『あ、ごめんねー?ちょっとこっちの友達見つけたから、行ってくるー!

バイバイ、水瀬…ううん。

さよなら、雨音』




散ったばかりの花は灰のように崩れ落ち、





そして、消えた。