もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい


「上手くいったって、思ってた。馬鹿だよな、無理やり参加させたようなもんなのに、勘違いして浮かれてた」

安東くんが自嘲気味に笑う。

見ていて辛い笑みだった。

でも、言葉が見つからない。

私も自分が情けなくて仕方ないから。


彼に近づけたと勘違いしていた、私が。


「千晴は週に三回来れればいい方だったけど、器用だからすぐに上達して。誰の目から見ても、ダントツで上手かった。

ダブルスのペアは同学年同士で、先生が決めるって言ってたから、俺も千晴に劣らないように精一杯練習した。千晴が持ってなくて、俺が持っているものは、時間だけだったから。本当にひたすら」

安東くんは表情を翳らせて、微かに俯いた。

彼は努力したんだ。

天沢に近づくために。

それなのに、何故そんな顔をするんだろう。

「なんとか俺たちペア組ませてもらって。その時は本当に嬉しかった。天沢も部活仲間と馴染んでるように感じたし、俺の主観だけど楽しんでるんじゃないかなって思ってた」

私は無意識に頷く。

安東くんは自分なりに、できることを精一杯した。

天沢のことを思って行動したんだから。

彼を讃える意味で、もう一度頷いた。

ゆっくりと、深く深く。


「大会で、俺たち結構良い線まで行ったんだ。県大会まで行ってさ。でも…それまでだった」

「…負けちゃったの?」

「いや…」

言いにくいことかな、と思って敢えて質問したのだけれど、的外れだったらしい。

安東くんは何度か口を開いて閉じてを繰り返して、ぽつりと呟いた。

「県大会は優勝した」

「…え?」

暗い表情とは真逆の発言に、私は場に合わない間抜けな声を晒す。

安東くんは綺麗なアーモンド型の瞳を瞼で隠して、言葉を綴った。

「辞退したんだ。二人で、決めた」

後悔に包まれた、哀しい、哀しい声。

どうして、と思わず唇から声を洩らす。

「…県大会で同じ学校の奴に当たったんだ。圧勝した。それが、いけなかった」

安東くんの酷く震えている声を耳に吸い込ませながら、私はぐっと唇を噛んだ。

ただ、全力を尽くして試合に挑んだ。

何一つ悪いことなんてしていない。

でも、それを恨み、妬み、僻む人が世の中にはいるんだ。