もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「羽虹もさ、虹じゃん?二人とも空関係で羨ましかったからさ、小さい頃の俺ヤキモチ妬いてたりもしたな。

そしたら千晴が颯希も「さっと吹く風」だし自然関係では同じだよ、とか言って励ましてくれたりしてさ。それだけで納得して喜んじゃうんだよな、千晴はすげぇよ」

過去を振り返って笑う安東くんの眼差しは、今日見た中で一番優しいものだった。



天沢の友達、としてじゃなくて、安東くんとしてみなきゃ、だめだよね。

彼は“安東颯希”なんだから。

「…ありがとう、元気でた」

ぎゅっと手を握りしめるのと同時に、勇気を振り絞って声に乗せた一言。

安東くんは「何が?」と尋ねることもなく、静かにそっか、と頷くだけだった。

ちゃんと自然と言えたみたい。



もう少しだけ、勇気を出してみようか。

「天沢のこと、大切なんだね」

「それは、そうだろ」

どんな反応をするのか気になったのだけど、安東くんが真顔でサラッと受け流すので拍子抜けしてしまう。

私がしばらくじっと彼を見つめていると、安東くんは自分の言動を思い出して「しまった」と言わんばかりに表情を引き攣らせた。

「そ、そんなこと聞く?恥ずいんだけど」

「天沢に言っちゃおうかな」

「わーやだ!千晴、反応に困るって!」

夕日の鮮やかな赤色を映したみたいに、彼の頬が赤くなる。

思わず吹き出すと、安東くんは一層不満そうに顔を歪めた。