もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

それに…。

「私と天沢は正反対なの。光と影で、夏と冬で…。

晴れと雨。名前から正反対って、なんかもうどうしようもないよね」

ずっとずっと、思ってた。

でも、言葉には出さなかったし、出せなかった。

君に近づきたくて勉強を頑張ってみたし、祖母や羽虹に自然に接せるようにした。

それなのに、肝心の始めから全部全部真逆なら、どうしようもないから。


「光がないと影はできないし、夏が来ないと冬も来ない。反対と思うものもさ、意外に関わってるもんだよ。

類義語に比べれば対義語は近くないけれど、無関係のものよりは近いだろ?」

安東くんが確信に満ちた強い瞳を、傾けた傘から覗かせる。


足りなかった何かが満たされた瞬間。

解けなかった問題を理解した瞬間。

パズルのピースが組み合わさった瞬間。


新しい見方だった。

そんな風に考えたこと、なかったから。


でも、すごくしっくりと心に馴染んだ。

確かにそうだと思った。



「雨と晴れもそうじゃん?天気関係だし、何億何兆とある名前の中でさ、似てる方だと思うよ、俺は」


安東くんの言葉は、私の心にスッと染み込んでいく。

欲しかった言葉だった。

ずっとずっと求めていたものだった。