もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「待って」

やっと違和感の正体がわかる。

そうだ、羽虹は確かに安東くんのことを“颯希”と読んでいたはずだ。

それなのに、“真白さん”なんてあまりにも他人行儀過ぎないだろうか。


「どうかした？水瀬さん」



いや…違う。

呼ばないんじゃなくて、呼べないんだ。

天沢と一緒にいた時、羽虹が皆からよく思われなかったことを知っているから。

皆の前で羽虹の名前を呼べば、嫉妬する人がいるから。


「…私の前では、羽虹でいいよ」

「…そっか、そうだよな」

安東くんは一瞬意表を突かれたように目を見開いたけれど、すぐに寂しそうな顔で頷いた。



なんで、我慢しなきゃならないの。

ただ、好きな人と一緒にいたいだけなのに。

好きな人が好きな人といることを、よく思えない人がいるの。

おかしいよ、そんなの…。