気づけば、時間が過ぎている。
最近、時間の感覚がおかしくなってしまった。
あっという間に下校時間になっていたことに驚くことも億劫で、人並みに呑み込まれないように皆より先に靴箱に向かう。
今日はいつもより授業数が少なくて、早く帰れる日だ。
そのせいか、皆の表情がいつもより明るく見える。
私には関係ないし、寧ろ喜ばしいことなのに何故か胸が苦しくなった。
「でもさぁ、雨降ってるし濡れるじゃん」
「あー確かに…。雨、最悪ー」
心に鋭利な何かがざくりと刺さって、深い深い傷となる。
心の痛さから、顔を俯かせてぐっと唇を噛んだ。
私だって、雨なんか──
──空は今日みたいに涙を流しているときもあるけれど…とても綺麗だから。
──雨の音で、雨音って落ち着いてる感じがするし、響きが綺麗。
雨なんか、嫌いなはずなのに。
君と出会った日の雨も、君が呼んでくれる名前も、君を想って眺める雨も、全部全部愛おしい。
でも、やっぱり…
君のように、君の名前のように輝かしい…
太陽を恋しく想う。
光に満ちた真っ青な空を。
