もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「何も知らないんです。ごめんなさい。

でも…約束したから。天沢が話したくなるまで聞かないって。

だから、私は…天沢を信じて、待ってます。
きっとそれが私にできること、だから」



私の精一杯の覚悟。

きっと、天沢にも届くよね?




「妃里さん、店長だし忙しいでしょうし…私は大丈夫なので、もうお仕事に戻られてください。何かあったら伝えに来ます」

「…ありがとう、雨音ちゃん。きっと二人は大丈夫ね。何があっても。じゃあ、またね」

私は頭を深く下げた後、部屋の外に出て傘を手に取った。

雨に濡れて帰ろうかな、となんとなく思った。

あの日…天沢が助けてくれたときみたいに。

でも、やめた。


『水瀬さん、風邪ひいちゃうよ』


きっと、天沢ならそう言うから。


天沢が辛い時に、駆けつけてあげられなくなったら困るから。



『水瀬さん』


家までの間のほんの数分なのに…何度も何度も甘くて柔らかい綿菓子みたいな彼の声が、脳内で谺していた。



──君の五分間を僕にくれる?



意味もなく、涙が流れた。


君の隣が、酷く恋しかった。