もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「あの、妃里さん。天沢のこと、何か聞いていますか?…待ち合わせに来ないとか、あり得ないのに…」

聞いて良いことなのかわからない、けど聞かずにはいられなかった。

声が震えるのに不快さを感じながらも、ちゃんと妃里さんの瞳をじっと見つめて尋ねる。

でも、妃里さんは浮かない顔で俯いてしまった。

「…うーん、ごめんね。実は私もそれを聞きにきたの」

「え?」

申し訳なさそうに眉を顰める妃里さんに、私は軽く首を傾げる。

妃里さんはうーん、と唸った後、意を決したように顔を上げた。

「千晴くんのバイトのこと知ってるでしょ?彼、いつも月曜日と金曜日に来てるの。それなのに、昨日姿が見えなくて」

薄っすらとしていた不安が、濃い色に染まっていく。

絶対何かあった。

天沢は責任感が人一倍強いのだから。

「あ、いや、大したバイトじゃないし、全然来れる日だけで良いって言ってたから、叱る気はないよ?…でも、何の連絡もないには初めてだったから。不安で…」

私が顔を顰めていたせいか、妃里さんは当たり障りない言葉を必死に選んでくれる。

気を使わせてしまって申し訳ない。

でも…今、どこかで何かに苦しめられている天沢のことを思わずにはいられない、から。

「…それで、あなたのことを思い出したの」

「えっ?私ですか?」

顔も知らない私のことを、何故?

「うん。千晴くん、あなたの話をするようになってから、少し顔色が良かったから。だから、何か知ってるかなって」

妃里さんは確信に満ちた表情で、深く頷いた。

私は、天沢の心の支えにほんの少しだけ、なれてたりしたのだろうか。

もしそうなら、それ以上に嬉しいことはない。

…だけど。

私は、天沢に何があったのか知らない。

何も教えてもらってない。

妃里さんの期待には、応えられない。