6月といえば雨ばかりで、じめじめした感じがする。
だから雲一つない青空は久しぶりだった。
でもそれとは対照的に、私の心はあまり明るくない。
「雨音」
そう、雨。
私の気分は雨模様だ。
「雨音ってばー、どうしたの?」
「えっ、あ、ごめんっ!ぼーっとしてたっ」
名前を何度も呼ばれて、やっと我に変える。
羽虹が隣にいることをすっかり忘れていた自分を強く責めた。
「ううん、謝ることじゃないよー、別になんか上の空だなって思っただけ。
あぁー暑いねぇ…もう夏だぁ…」
羽虹は気にすることなく、照れつける太陽の光に手を翳す。
天沢と話をして数日後、今日は金曜日。
明日は天沢と二人きりで話せる日だ。
だけどあんなことを言ってしまった手前、普通に接せるのか不安でしかない。
信じてると言ってしまったのは、良くなかった。
だって、それは天沢を苦しめたことだろう。
信じてもらってるんだから、話さなきゃって。
「…千晴くんと何かあった?」
羽虹はいつになく静かな私に違和感を覚えたのか、真面目な表情でぽつりと呟いた。
聞き逃してくれてもいいよ、と言いたげに目線を外してそれはそれは静かな声で。
「ううん、あれから何も。ただ、ちょっと不安なだけ。何か…嫌な予感がする」
「…そっか。まあ、明日…話してくれるかもしれないし、ね?」
そうかもしれない。
でも、でも…それはやっぱり、なんか違う。
天沢に言わせたに過ぎないのだから。
私が望んでいるのは、そういうことじゃない。
もやもやした気持ちのまま、今日が過ぎていく。
