もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい




それからは、時間が過ぎるのが早かった。

気づいたら日は暮れていて慌ててお店を出たけれど、分かれ道で何十分か立ち話をしてしまって帰り着いたのは空に星が光り始めた頃だった。





私は夜、ベッドの中で天沢のことを考えていた。


羽虹が転んで泣いていた時。

天沢は安東くんが大人を呼んでくるまでずっと、羽虹の手を握って優しく頭を撫でていた。

羽虹が草むらでお気に入りのピン留めを失くした時。

安藤くんと天沢は、夜遅くにそれを傷だらけで届けに来た。

忘れ物をして泣いていた時。

天沢は自分も忘れたと担任に嘘を吐いて、羽虹への怒りを軽減させた。




優しい彼らしい。

きっと泣いている羽虹を目にして、天沢の心の中は不安と心配でいっぱいで、冷静になるなんてとても無理だっただろう。

でも、どんなに不安でもそれを表に出して仕舞えば羽虹が更に悲しい気持ちになる。

だから、自分の混乱を呑み込んで微笑んだ。



失くし物も羽虹に笑顔でいて欲しいという気持ちが全てで、夜遅くは危険なんて正しい判断はできなかったんだろう。

草で手足を切っても痛いとか、もう嫌だとか、諦めの気持ちは微塵も湧かず、二人で草を掻き分けていたに違いない。


そして、忘れ物。

きっと彼は自分が怒られるつもりでいたんだろうけれど、担任は驚くだけだったらしい。

それはそうだろう。

彼ほど優秀で真面目な人間が忘れ物をしたって、怒られるより心配されるに決まってる。

そして一緒に忘れ物をした羽虹だけ怒るわけにもいかず、大したお説教もなく授業は終了。






何度だって思ってきた。

思うたびに更に気持ちは強くなっていく。




彼は、なんて優しい人なんだろう。

なんて心の綺麗な、温かさに満ちた人なんだろう。



天沢、君は──











気づいたら、眠っていた。





天沢のことばかり考えていたせいか、彼が夢に出てきた。







彼は、言葉なしにただただ微笑んでいた。






大雨の中、あの日と同じ屋上で。