言葉が出なかった。

頭が真っ白になって、自分が今どこにいるのかもわからなくなった。


──雨音、大好きっ!!


疑いたくなんてない。

やめて、私たちの楽園に異物を放り込まないで。

──離れてても、ずっと親友だからっ、だから…忘れないでね、私のことっ…!


傷つくくらいなら、何も知りたくない。

暗闇しか瞳に映るものはないのなら、瞼を開きたくなんてない。

怒声や罵声しか拾うことができないのなら、聴力なんていらない。

いっそこのまま、全て消えて仕舞えば良いのに。

「水瀬さん、ごめんね。でも、そのこれからもずっとこの子と知らないまま関わるのもどうかと思って…」

「…そう、」

私は一言答えるだけで精一杯でそのまま教室を飛び出した。