もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「…たしかに、天沢ってお兄さんって感じする」

天沢に話を合わせるけれど、彼はそうかな、とどことなく上の空で届いているのかさえ怪しかった。

嫌な予感がする。

聴いちゃいけない、何か。

「…名前は晴夏(はるか)」

天沢の声はまるで氷のようだった。

人目を引く美しさを秘め、熱によって消える儚さも兼ね備えている。

でも…固くて冷たい、氷。



やっぱり断言できる。

いつもの天沢じゃない。




でも…彼はきっと覚悟を決めてこの言葉を綴っている。

それなら、ちゃんと聞かなきゃ。

彼の思いを知りたいと思うなら。

「…晴夏は学校に行ったことがないんだ。幼い頃からずっと、入院生活で」

彼の声は、何かを読み上げているみたいに淡々としていた。



知らされた事実は予想以上に重いもので、私は息を呑む。


入院…?幼い頃からずっと…?

じゃあ、両親も弟さんにつきっきりじゃ…。


小さい天沢が、誰もいない家で独り食事を口に運ぶ姿が脳裏に浮かぶ。

どんなに頑張っても、自分を見て、なんてとても言えない。

だって、弟は学校にも行けずに病に苦しんでいるのだから。


そんなの、痛いよ。痛くて堪らない。


それなのに…私、、

──“千晴”って…ずっと光に包まれて生きていく運命そのものって感じだよね。

私は生まれ変わるなら天沢になりたいよ。


── 天沢のことを好きなった人に、天沢に憧れている人に、天沢になりたくてもなれない人に!失礼、でしょっ!?