もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「そうだね、うん。話してみる。
ありがと、天沢。
まずは…祖母に謝らなくちゃ。私の一方的な八つ当たりだし」

「よかった。応援してる、頑張ってね」

彼はほっと息を吐いて、にこりと笑った。

いつも通りなはずの仕草なのに少しだけ違和感を感じて、思わず首を傾げる。

「…もしかして、意外に焦ってた?」

初めて会った時、屋上から飛び降りようとした私に意味のわからない質問を投げつけるくらいだから、動揺はしていないと思っていたけれど…。

彼はう、と言葉に詰まって目を逸らした。

どうやら図星らしい。

「…当たり前だよ。心配した。出来るだけ冷静を装ってるつもりだったけれど…だめだね、本人にバレちゃってる」

心配、してくれたんだ。

心がぽっと光を灯して、温かくなった。

思わず顔が緩んでしまうくらいに、彼の気持ちが嬉しい。

「…ありがと、天沢。本当に」

彼は何も返してこなかった。

天沢は事あるごとにお礼を言ってくれる。

でも、言われることには慣れていないようだ。

だからいつもとは真逆の立ち位置に、戸惑っているのかもしれない。

意外な一面に、ふっと笑みを溢す。


空を見上げると、先程まで恨めしく思っていた星が、輝かしく見えた。