もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

私は、祖母に酷い言葉を吐いたことを、洗いざらい天沢に話した。

普通、こんな話をされたら戸惑うだろう。

でも、彼は表情一つ変えずにいつも通り静かに相槌を打って聴いてくれた。


「…両親のこと、他人同然に思えるの。育ててくれたし、学費も食費も全部払ってくれたし、これ以上ないくらいに感謝してるけれど、でも信頼してるかって言われたら、なんとも言えない。

大学だって、今度こそ自分の意思で決めたいのに。レールの上の人生なんて、いや」

涙は出ないけれど、声は掠れてしまう。

妹しか見ていない両親。

その横顔を思い出すたびに、心がギュッと痛くなる。

私は、いらないんだって。


「…その言葉、伝えたことってある?」

眉間に皺を刻んで涙を堪えている私に、彼はいつもと変わらない温厚な表情で尋ねた。

同じ空間にいるようには思えない、柔和な雰囲気に心が解されていく。

「え…いや、話すこともほとんどないし…」

「なら伝えてみるのも一つの手だと思うよ。僕は水瀬さんの両親を知らないから軽はずみな発言はできないけれど、でも水瀬さんの肉親だから。ちゃんと、聴いてくれるんじゃないかな」

天沢の言葉は、絡まった糸を解くみたいに私のぐちゃぐちゃな思考を一瞬で片付けた。

そっか、私が話さなかったから。

何一つ理解してもらえないって思ってたのは、私が行動しなかったからなんだ。



彼は、人の心を満たす天才だ。


道に迷った時の地図みたいに、真っ暗な道のランプみたいに、寒さに凍えている時の太陽のように、彼は人を導き、助け、救う。