「…天沢の言葉を信じるって決めたんだもんね。天沢が隣にいて幸せって思ってくれるのなら、一緒にいたいと思う。…それでいいのかな?」

私が恐る恐る羽虹に視線を向けると、やっと気づいたか、と言いたげに彼女は深く頷いた。

彼と同じ、闇を切り裂く朝日のように眩しい笑みで。



膜が破れて、顔を出した心がぽっと温まるのがわかる。


羽虹が友達でよかった。

天沢と出会えてよかった。


私は幸せ者だ。


あの雨の日、前進することを諦め、光から背を向け、全てを捨てようとした。

だけど、彼に出会えた。

天沢が、私を、私の全てを変えたんだ。





「雨音は千晴くんが好き?」

唐突に放たれた言葉は、私の脳を停止させた。

文字通り何も考えることができず、完全に頭が真っ白になる。

「…こんなこと聞くのは野暮かぁ。私が口出しすることでもないよね」

羽虹は理解が追いつかない私に気づくことなく、話を中断してしまう。

しばらく彼女が氷が入ったグラスをコトコトとかき混ぜている音を聞いているうちに、頭が冷えてきた。

…私が、天沢を…好き??


いや、え、違、そんなこと思ったこと、ないし。

第一、私、完璧王子も八方美人も好きじゃないし。


…ていうか、そんなこと気にするってことは、もしかして、、、羽虹がっ!?

あの天沢の本当を知っている数少ない人間だし、幼馴染。

…可能性は大?

「…羽虹、もしかして…、、天沢のこと」

「あー待って、私が悪かった。今のは紛らわしかったね。違うよ。私、千晴くんのことそう言う目で見たことないもん」

羽虹がしまった、と言いたげに大きく首を振る。

どれだけ必死なの、と言いたくなるくらいに大きくかぶりを振るので余計意味がわからなくなった。



なんでそんなに必死なの?

でも、嘘つくわけないし…。