もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

「これから何か用事とか…ある?」

日が落ちた空は、段々と暗くなっていく。

それに気づいたのか、彼はしんみりとした雰囲気を漂わせて首を傾げた。

正直そろそろ帰らないと祖母が心配してしまうだろうし、ここに長居するのはあまり良くない。

でも、私は…もう少しここにいたい、と思ってしまった。

帰りたくない。

「…ここに居てもいい?用事はないし…連絡させてもらえれば、大丈夫」

私の意志を伝えて、ささっとメールを送信する。

私がスマホをしまうと、彼はふんわりと微笑んで、おいで、と部屋に招いてくれた。

言われるがままに私は部屋に入り、すっかり定位置となった席に腰を掛けようとする。

だけれど私が座ることはなく部屋の中に視線を巡らせた瞬間、絶句した。



室内は電気がついておらず、カーテンも閉められていて光は完全に遮断されていた。

目を凝らして部屋の中を探ると、なんだかトゲトゲしたものが天井から吊り下げられている。

「…え、何これ」

隣にいる天沢は無言で机に手を置いて何かを掴んだかと思うと、ぱちっ、という音が響いた。

何事かと思って彼を見ようとすると、暗闇に光が溢れる。

「わぁっ…!」

無数の、鮮烈な光を放つ星。


桜を連想させる薄桜色。

心を温める柔らかい承和色。

夏の瑞々しい木の葉みたいな翡翠色。

快晴の日の高い空にそっくりな御空色。

優美な建物の壁紙に似合う落ち着いた楝色。



なによりも先に頭に浮かんだのは、二文字の熟語。

綺麗、すぎる。