「君の、願いなら。いくらでも叶えるよ」
ガチャリとドアが微かに開く。
心臓が止まりそうなくらいに驚いて、息が詰まりそうなくらいに嬉しくて、涙が出そうなくらいに彼を想った。
小さな隙間から見える細くて繊細な手さえ、今は懐かしい。
視線を上げると、彼の透き通った硝子のような瞳に私が映る。
「天沢、天沢だ」
ただただ彼の名前を呼ぶ。
さっきまで同じ教室にいたのに、まるで一ヶ月くらい会っていなかったみたいに懐かしい。
天沢はどうすればいいのか迷う様子で、うん、と小さな声を溢した。
突如、罪悪感と後悔と深い悲しみが胸に宿る。
「…ごめんなさい、私、ごめん、ごめんね」
泣きそうなのを必死に隠して、私は言わなきゃいけないことを探していた。
たくさんあるはずなのに、色々な感情が邪魔して上手く手が届かない。
言葉を整理するのは苦手だし、謝ることさえなかなか出来ない私。
ああ、醜いなぁ…、
私は、天沢に相応しくないよ…
