中間服に汗が滲む。
もうすぐ夕暮れだというのに、六月が近づいた今はもう十分の温かさだ。
もちろん、ひさしぶりに本気で走っているから、というのが前提で。
電車に揺られて四十分。
今までの人生で、この四十分は一番長く感じた。
どんどん沈んでいく太陽を見て、私はひたすら焦るばかりだった。
額を雫が伝っていく。
それを拭う暇もなく、私は走り続けた。
周囲の視線も何も気にならなくて、ただただお店を目指す。
根拠も理由も何一つない。
彼が今日、あのお店にいる保証なんてないし、家にいると考えた方が自然だろう。
でも、何故か私は天沢に会いたい、と思った時にはお店まで走って何分かかるかを考えていた。
羽虹みたいに勘が鋭いわけではないし、確信なんてものも全くないけれど、ほかに行く場所もないし直感を信じてみることにする。
今日くらいは、神様も私の味方をしてよ。
