もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい







「…それでね、私は雨音に声をかけたの。
私、勘は鋭い方で、やっぱり雨音は他の人とは違ってとんとん拍子に仲良くなれたんだよね。
嘘の自分なんてなくてよかったんだ、って思わせてくれたもん」

長い長い話を、私は呆然と…まるで夢でも見ているかのような気持ちで聞いていた。



天沢の本性が人見知り?

そんな、嘘…!


え、いや待って…でも、普段から天沢には驚くほど自尊感情なかった。

それは、天沢が本当は誰よりも人と関わるのが苦手で、そんな自分に引き目を感じているからだったのだろうか。



そんな彼に私は何と言った?



──良いよね、天沢は



──何でもできるし、誰にも好かれてるし、その容姿でしょ。



──終いには名前も“千晴”って…ずっと光に
包まれて生きていく運命そのものって感じだよね。



──私は生まれ変わるなら天沢になりたいよ





何も、わかっていなかった。

私は彼のことを、何一つ知らなかった。


ずっと光に包まれてって、父親が亡くなっている人生が光?

誰にも好かれてるって、全部天沢の努力なのに。

羽虹とのことも勘違いして、勝手に不安になって八つ当たりして…

彼はどんな気持ちで私の言葉を聞いていたのだろうか。




人格を変えてしまうほどの苦しみを乗り越えて、彼は今を生きているんだ。

私は、そんな彼に言葉の刃を刺した。

彼を、傷つけた。


私を助けてくれて、ずっと見守ってくれていた天沢を。




私は、最低だ──