もしも願いが叶うのならば、私は君の光になりたい

でも、このままでは高校で待っているには孤独だとわかっていた。

あの体育館倉庫での事件以来、ほとんど女子と関わっていない私に友達づくりはハードルが高い。

──千晴くんと颯希にこれ以上心配をかけたくない。


そんな思いから、私は嘘の自分を作って人と話した。


聞き上手で良く笑う、大人しくもハキハキもしていない女の子。

意見が分かれたときに仲裁にいるような感じの人間を目指して、私は人との輪を広げていった。

友達はできた。

でも、羽虹、と呼ばれる度に体が強張る。

本当の私を隠すのに必死だったから。

嘘つきで、我儘で、融通の効かない、私を。


一年が経った時、ようやく私は違和感を感じた。

中学の頃の孤独と、今の仮面を被る毎日。

どちらが楽?

答えは出なかった。

一年を悔やんだ。

何も得られず、変われず、また時間を失ってしまった。



そんな時、脳裏に浮かんだのは一人の女の子だった。

休み時間にいつも本を読んでいる、二組の水瀬雨音さん。

私みたいに誰彼構わず声をかける嘘吐きとは真逆の、自分を持っている姿に密かに惹かれていた。



私はもしも二年生で同じクラスになれたら、彼女に声をかけようと決心した。